センターニュース No.70

(発行・2010/5/15)「電話相談を受けて」より転載

被害にともなう支出と賠償金

お金で解決したくない」「お金より誠意ある謝罪がほしい」「賠償金より自分が傷ついたことを相手にわかってもらいたい」などの声を相談者から聞くことがあります。お金よりも心からの謝罪の言葉が重要であり、被害者がそれを第一に求めるのは、もっともなことです。しかしながら、ほとんどの場合、納得できる「謝罪」は、望めないのです。

 強姦の被害者には精神的ダメージは勿論、金銭的にも重い負担がかかります。日常生活を回復するために、多くの費用が必要になります。 <
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・体調回復の費用―婦人科、外科、心療内科などの医療費。 

・引越に関わる費用―自宅が被害場所だったり、加害者に住所を知られている場合、引越しを余儀なくされる。

・生活費の増加―一人で外出できない、バスや電車に乗るのが怖い、家事ができないなどの状況になれば、人を頼んだりタクシーを利用したりなど、これまでになかった費用が増える。

 また収入面も、体調不良による欠勤や、告訴した場合は事情聴取や裁判などに係わる休暇のための減収、あるいは仕事を続けられなくなり無収入に陥るなど、大きな損失をこうむります。

 訴えるとなれば弁護士費用も必要です。裁判にともない、事件が周囲や職場に知られることもあり、その結果、悪意のある風評、おせっかい、いじめ、偏見、圧力などといった環境の変化も生じて、精神的疲労から休職や退職に追い込まれることもあります。

 賠償金は長期にわたってかかる心身の回復のための費用の一部を補うものでしかありません。被害をなかったことにしたり、加害者を放免したりするためのものではありません。加害者に罪を認めさせ、責任を負わせるものなのです。ですから賠償金を支払わせることは意味のあることなのです。

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