センターニュース No.60

(発行・2006/1/15)「電話相談を受けて」より転載

学生の皆さんへのメッセージ

 この数年、インターネットでセンターを知ったという女子学生の方からの問い合わせが増えました。学校の課題としてこのことを調べることになったのでとか、性被害に関連する講義を受け、同じ女性として他人事とは思えず関心を持ったなどの理由で質問が寄せられます。それらの回答に当たる内容は、センターの本「レイプ・クライシス」やニュース紙面で述べてありますので、まず始めにそちらに目を通して頂くのが一番早いと思います。

 学生の皆さんが、強姦を始めとする性暴力の問題に関心を持ち、女性として被害を身近に意識し、考えることは大歓迎ですし、とても大事なことです。考えれば必ず疑問が湧いてくるはずです。なぜ被害は起きるのか、なぜ被害を信じてもらえないのか、なぜ被害者は正当な扱いや充分なサポートが受けられないのか、問題は山ほどあります。 ひとつ注意してほしいことは、性暴力の問題は、女性蔑視を根に持つ問題だということです。そのため、他の犯罪被害と同じに考えても、前述の「なぜ」の答はわかりません。

 女性蔑視と男優位思想は一体のものです。女性は男より一段劣った存在とされ、それを自然の道理のようにして社会が組立てられています。この社会では、女性の身体は彼女自身のものではなく、支配者である自分のもの、と男は思っているわけですから、セックスは支配の一環であり強姦はそのバリエーションです。被害が被害として社会に通じない理由はここにあります。 
 
 性暴力は全ての女性に向けられた攻撃です。女性たちが自分の問題として向き合うことなしには、この問題は解決しません。しかし、それは実際は容易なことではないのです。自分が蔑視され差別を受けているという現実を認識しなければならないため、なるべくならそこは見たくないからです。そして多くの場合、被害にあった気の毒な誰かの問題として囲い込み、自分はその外側から問題を論じ、助ける人のポジションを取ろうとします。そうである限り加害者たちは安泰でいられます。

 もし皆さんが同じ女性として、本当にこの問題を考えようとするなら、教科書に書いてあることや世間の言うことをかき分けて、その下にある問題の本質にせまらなくてはなりません。女性たちがその気になりさえすれば、それはいつでも可能なことです。

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