センターニュース No.43

(発行・2000/4/15)「電話相談を受けて」より転載

プライバシーを守ること

 センターの電話相談では、プライバシーが守られるために二つの対応をしています。
 一つは、相談者が話さない限りセンターの方から事件のこと等についていろいろ聞かないということです。それは、相談者が話したいことを話したいように話せることが一番大事なことだと考えるからです。もしセンターの側が、事件について詳しい事情を知ろうとしたとします。そうすると、相談者は相談をするためには、まずセンターの質問に答えなくてはならなくなります。それはセンターのペースが優先されることで、相談者のその時の気持ちや話したいことが二の次になってしまいます。
 更に問題なのは、その時点から相談者はプライバシーを自分でコントロールできなくなってしまうことです。プライバシーを渡さなければ相談できないようなやり方は、被害者のための電話相談としてふさわしくないと考えます。そのため、例えば電話数統計で「不明」の数が多くなり、統計としての不充分さを指摘されることがありますが、それはやむをえないことです。統計を充実するためにいろいろ聞くのでは本末転倒になってしまいます。
 二つ目には、知ったことについての守秘です。相談内容を事例として公表して、それが固有名詞が伏せられていればプライバシーの守秘には触れないという見解がありますが、果たしてそうでしょうか。
 相談したこと(=自分のプライバシー)が不特定多数の人に知られてしまうことは、非常に不快なことです。同時に、もしこれが自分のことだと分かってしまったらという不安に襲われます。そうした当事者の気持ちを無視した、個人名さえ伏せてあれば良いだろうという発想は、プライバシーについての考え方が根本的に間違っています。
 センターでは、プライバシーの守秘のために、相談の事例は一切公表しません。強姦の問題について、取材等を申し込まれることもありますが、その際、相談事例については一切応じないことを条件にしています。これら二つのことは、相談機関の在り方として最も重要なことです。

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