センターニュース No.62

(発行・2006/10/15)「電話相談を受けて」より転載

顔見知りによる被害と謝罪の要求

顔見知りによる被害の場合、加害者に対して、誠意を持って謝って欲しいと望む女性は少なくありません。顔見知りからの被害は、加害者が信頼関係を利用するので、被害者は、驚きや混乱、不安や恐怖、怒りなどに襲われると共に、無力感や失望感などの大きな精神的打撃を負わせられます。

 受けた打撃から回復するには、打撃をもたらした相手の男に心から謝ってもらいたい、それによって苦しみが軽くなるはずだ感じると、その目的に向かって被害者は行動を開始します。積極的にメールを書いたり電話をするなどして連絡をとります。謝罪を引き出すという目的を持った交渉ですから、そのトーンは友好的です。相手を罵ったり、怒りをあらわに要求をつきつけたりしては、話がうまく進みにくいというのは誰もが持つ知恵です。相手が悪い事をしたと素直に思ってもらえるよう、問題を丁寧に説明し、謝罪を求めます。相手が思うような反応でない場合は、自分の話し方が不十分なのではと思い、更に重ねて連絡をとり続けます。こうした一連の行動が、社会からは被害を否定され、単なる男女関係のもめごとというふうに決め付けられてしまいます。

 交渉の末、それでは謝るから会おうという展開に進むことがあります。このとき女性は、悪い事をしたと認めた男に対して、再び一定の信頼感を持ち、大半は相手の都合に合わせて出掛けて行きます。ところがそうして行った場所は謝罪を受けるのにふさわしいとはいえない所であり、男は当然謝罪をするために現れるのではなく、目的は前と同じことを繰り返すことにあります。

 謝って欲しいという被害者の気持ちは自然なものです。しかし、男は被害者が思うようには悪い事をしたと思っていませんから、実際に期待するような謝罪を引き出すのは難しいでしょう。

 ほとんどの加害者は合意があったと話を作り、言い張ります。そうした相手に被害者だけが真剣に誠意を持って接し、交渉し、その結果、被害が否定され、加害者の言い分がまかり通るのが、顔見知りによる被害の特徴です。

 どうしても謝罪を求めるという場合は、文章なら用件をはっきりさせ、謝罪を求める理由を明確に書いたものを送りましょう。会って話すというときは、ひとりでは行動せず、信頼できる人を伴って行くとよいでしょう。

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